小林先生より離任の挨拶


七高生との出会い

七高には10年在職しましたが、その10年間でたくさんの生徒に出会うことができました。ここではその中でも私の記憶に新しい、あるクラスについてお話したいと思います。

そのクラスはこの3月まで英語の授業を担当していたのですが、どちらかと言うと「英語は苦手。」という人が集まっているようでした。授業中も気がつくと居眠りを始めたり、勝手なおしゃべりを始めたり、手が焼ける生徒が何人かいました。4月当初は英語の授業以前のこと-授業を受ける上での基本的なマナー、を確認しなければならない日々が続きました。時には厳しい口調で叱ったこともありました。

それでも、つき合っていくうちに授業以外での彼らの素顔が見えてきました。欠かさず部活の朝錬に出ている人、運動会や文化祭に全力を注いでいる人、等、それぞれ七高での学校生活を自分なりに楽しみ、活き活きとしている様子がうかがえました。

一方で、自分が目指す目標がはっきりせず、周りの友人に遅れを取っているような気になって悩み、授業にも集中できず、欠課が続いてしまう人もいました。明るく、楽しく、伸び伸びと・・・七高生全員がいつもそうだったわけではなかったようです。

そこで私は授業中だけでなく、休み時間や放課後に彼らに会ったらなるべく声をかけるようにしました。
「文化祭のダンス、素敵だったね。」
「次の小テスト、やれば出来るからがんばるんだよ。」等。
時には反応がないこともあり、うるさい! と思われているのも分かっていましたが、声をかけ続けました。

そして彼らとのつき合いも一年が過ぎ、私が離任することになったこの4月、そのクラスの中の一人の生徒から、小さな手紙を受け取りました。そこには「とても大変なクラスだったのに、最後まで自分たちと正面からつき合ってくれてうれしかった。」というようなことが書いてありました。そのクラスの中ではとても真面目で、宿題も欠かさずやってくるような生徒からそういう反応があったことは、正直、驚きでした。きっとそのような生徒には、いつも手のかかる生徒を注意してばかりの私は、うるさいなー! と思われているだろうと、思っていたからです。

新天地の逗子高校に行っても、一人ひとりの生徒を見つめ、向き合うことを忘れずに、そして彼らとの出会いを大切にしていきたいと思います。もちろん、これまでの七高生との出会いも素敵な思い出として私の中に残ることでしょう。